以前、交通安全の上では「譲り合い」などは必要なく、交通ルールに基づいた優先順位の把握と、その優先順位に従った行動が重要である、ということを書いたことがあります。
交通の状況によっては、例外的に優先順位を逆転させた方が良い場面もありえますが、それはあくまでも例外。通常は「優先順位に従った行動」が必要で、合理的な理由もなく「譲ってあげよう」精神だけで優先順位を変えるのは、周囲を混乱させて危険。という主張でした。
つまり、「譲り合い」という耳に響きの良い言葉で、ドライバーの意識が間違った方向に誘導されているようなもので、「譲り合い」などと言うのは即刻やめるべきだと思ってます。
という話と似ているのが、「早めのライト点灯」です。
「早めのライト点灯」自体は間違っていません。かなり暗くなるまでヘッドライトを点灯しないドライバーが多いのも事実です。
ただ、「早めのライト点灯」という表現の背後には、「ライトは夜、暗くなったら点灯するもの」という考え方があるように思います。段々と暗くなって行く時、もっと早めに点灯しましょう、ということです。
しかしながら、ヘッドライトは「夜、暗くなったら点灯するもの」ではありません。ドライバーが視認性や被視認性を判断して、必要な時に点灯するものです。
例えば、雨降り。アスファルトは濡れて黒っぽくなり、暗い色の車は保護色になる上、ウィンドウやサイドミラーに水滴が付いて、視認性が極端に低下します。従って、「雨が降ったらライト点灯」は標語にしても良い程のことなのですが、教習所ですらそれを教えていません。
例えば、高速道などの高架下の道路。晴れている昼間でも薄暗い箇所があります。当然、ライトを点灯すべきです。
雨降りも高架下も、ライト点灯率は絶望的に低いのが現状です。ほとんどのドライバーは、ライトを点灯すべきかどうかの判断すらしていないでしょう。
「早めのライト点灯」と言われたら、善良なドライバーは夕方の時間帯にのみ、点灯に気を配ることでしょう。ここ数年、「早めのライト点灯」は不十分ながらも効果は出ているようですが、雨降りや高架下の状況には良い影響を及ぼしていないと思われます。
「早めのライト点灯」などと言うよりも、「雨は点灯、高架下も点灯」とでも言った方が、ずっと効果的だと思います。「雨は点灯、高架下も点灯」を実践するドライバーなら、黙っていても「早めの点灯」も実践するでしょう。
「早めのライト点灯」という言葉によって、ドライバーの意識が「ライトは夜、暗くなったら点灯するもの」になっている悪影響は、決して無視できないのではないか、と思います。