不幸な女(後編)
不幸な女(前篇)の続きです。
A子さんに次の不幸をもたらしたのは、Z男君。A子さんとは仕事上の付き合いがあり、年齢はA子さんのひとつかふたつ上。独身です。
A子さんとZ男君は、以前から仕事上の付き合いがあり(別会社です)、A子さんは男性としてZ男君に好印象を持っていました。でも、取引関係のある会社の社員同士ということもあり、いわゆる男女のお付き合いに踏み出すようなことはありませんでした。
ただ、仕事が終わった後など、二人で食事をして帰る、といったことは時々ありました。もちろん、口説かれたりとか、手を握られたとか、その種のことは一切ありませんでした。
その日もA子さんとZ男君は、仕事が終わった後、居酒屋のカウンターに座って二人で食事をしていました。
ところが、何の前触れもなくいきなり、Z男君がA子さんにキスをしてきたのです。もちろん唇に。居酒屋さんの店内で。不意打ちでしたので、A子さんには避けることはできませんでした。でも、もともと好意を持っていた男性ですから、さほど悪い気もしなかったとのこと。
そのキスの後、二人は店を出るわけですが、A子さんが気になるのは「これからどうするの?」ということ。有り体に言ってしまえば、ホテルに行ってセックスするのか、ということ。
店を出た後の二人がどういう雰囲気だったのかは聞いていませんが、少なくともZ男君が積極的に誘うということはなく、A子さんは生まれて初めて、30年以上生きてきて初めて(←と彼女自身が言いました)、誘われる前に自分から「いいわよ」と言ったのだそうです。
「いいわよ」と言われてみたいものです。それはさておき。
ところがところが、「いいわよ」と言われたZ男君の返事は「やめとこう」。
そりゃあもう、A子さんは大ショックでしょう。翌日、Z男君からお詫びのメールが来たそうですが、詫びれば済む問題じゃありませんよ。
私などは、誘って断られるのには慣れてますが、女性の場合は話が全然違います。A子さん、「私に
は女性としての魅力が皆無なのかしら?」「私が相手だとそんなにイヤなの」などと悩んだそうです。無理からぬところ。
そもそも、自分からいきなりキスしておいて、相手の女性がもう一歩を踏み出そうとしたら逃げるなど、男としてありえません。二股男とか、既婚隠し男よりも悪質です。
そんなことがあっても、A子さんとZ男には仕事上の付き合いは残るのです。それがまた辛いと言ってました。
これが不幸の三番目。
前編からの不幸三連発ですが、去年の年末から今年の2月にかけて、順番に起こったことです。既婚疑惑男にブッチされ、年下草食男には大切にされず、「いいわよ」と言った男は逃げる。
これが二ヶ月位の間に立て続けですから、A子さんが落ち込むのも無理はありません。
A子さんは充分に魅力的な女性ですから、そのうち良い男が現れるでしょう。なーんて慰めるのは簡単ですが、本人が魅力的なことと、良い男と付き合えるかどうかは、はっきり言って関係ないですから、そういうしょうもない慰めは言いませんでした。
ここで何度か書いてますが、私はアゲチンなのです。私と付き合った女性は、男からのアプローチが多発する傾向があるのです。そして、私とA子さんは、何回か食事はしたことがありますが、残念ながらチンの関係はございません。
ということで、A子さんの不幸三連発は、私のアゲチン効果(色んな男からのアプローチが来る)が中途半端に発動したせいではないかと想像するものです。きっとそうに違いありません。
この見解、A子さん本人にも伝えましたよ。ケラケラ笑われましたが。

