「ブログに記事をアップする」という言い方をしますか?
私はしませんが、している人は少なくないような気もします。別に、ちょっとした言い回しの揚げ足を取るつもりはないのですが、やはり「ブログに記事をアップする」というのはおかしいと思います。
ブログや「はてな」に代表されるWeb日記のような仕組みがなかった時代、個人がブログっぽいことをするには、個人個人のPCで記事を書いて(簡単なHTMLの文法に則って)、それをFTPをサポートするソフトウェアで(FTPはFile Transfer Protcol の略です。つまり、ファイル転送のための仕組みですね)、その記事をサーバに転送する、というのが、一般的な形式でした。
そして、自分のPCにある記事をサーバに転送することを指して、あくまでも俗称とか通称の類ではありますが、「アップロードする」とか「アップする」とか言ったわけです。技術的に詳しい人程、「アップ」という言い方には抵抗があるでしょうが、それは後述します。
ともかく、以前は自分のPCからサーバに記事のファイルを転送していたので、「アップする」という言い方にも一理あったわけです。また、多くの人は「記事のマスターデータは自分のPCにあり、その複製をサーバに送っている」という意識だったはずです。
ところが、ブログの仕組みでは、画像データなどの付加データを除けば、記事のデータを自分のPCからサーバに送る、ということはありません。ブログサービスの画面から書く記事は直接サーバに保存され、自分のPCには何も残りません。
従って、「ブログに記事をアップする」という言い方はおかしい、ということです。何も「アップ」などしていません。ブラウザを媒介として、直接にサーバに書き込んでいるわけですからね。
ブログの良い点として、操作が楽とか、管理が楽とか、カテゴリ分けが楽とか、色々ありますが、私としてはそれらに加えて、「自分のPCにマスターデータがある」という状態を打破した意義は極めて大きいと思います。「自分のPCには出来る限り何もない」のが正しい形だと思います。一般ユーザがバックアップに気を遣わなければならない状況は、間違っていると思います。サーバにあるデータを、自分のPCにあるデータと同等かそれ以上に便利に使えて、データの保全が充分に行われるなら、外付けディスクにバックアップ、なんて誰もしませんよね。
それはともかく、「ブログに記事をアップする」という言い方はおかしい、という話でした。
では、ブログ以前の話なら、あるいはブログで使う画像の話なら、「アップする」で良いのかというと、私は異議ありなんですよ。まあ、「アップする」というのはかなり定着している言い方ではありますけどね。
「アップする」というのは、「サーバが上、自分のPC(クライアント)が下」というイメージから発生していると思います。下から上にデータを送るから「アップ」、これがヘンです。サーバが上って誰が決めたんでしょうか? サーバというのは奉仕者ですから、どうしても上か下かに分類するなら、下ですよ。まあ、上も下もない、ってのが正しいとは思いますが、便宜上で上下が欲しいなら、サーバは下でしょう。
世の中、逆の見方が定着してしまってますけど、私は意固地なので、絶対に「アップする」というのは使いません。そういう表現が必要な時には、「転送する」などと言います。
サーバを上と見る感覚と、役人や行政組織を「お上」と見る感覚は似ていますね。公務員が公僕であるのと同様、サーバだって我々に奉仕するためにあるんですけどね。