自転車に乗る人の90%以上は、「左側通行」と「一時停止」について、全く無視しているような状況ですが、自転車で右側を走る事の危険性について、物理学を用いて解説しましょう。
ただし、これから解説するのは右側通行の危険性のほんの一部に過ぎませんので、そこんとこ、誤解なきように。
私が自転車に乗っていても、右側通行の自転車は邪魔な上に危険なのですが、ここではクルマと自転車の関係を考えましょう。
真っ直ぐな道で自転車が左側を走っていたら、クルマも左側なので、両者が近づく状況というのは、自転車をクルマが追い抜く形になります。
もし自転車が右側を走っていたら、両者は道の同じ側ですれ違う、ということになります。
この二つの状況、どちらが危険でしょうか?
仮に、自転車が20Km/h、クルマが40Km/hで走っていたとします。街中の走行速度としては、ありそうな設定だと思います。
すると、自転車左側通行の場合、クルマと自転車の相対速度は(40 - 20) = 20Km/hになります。両者が同方向に走っているので、相対速度はそれぞれの速度の差になるからです。
一方、自転車が右側通行の場合、クルマと自転車の相対速度は(40 + 20) = 60Km/hになります。両者が逆方向に走っているので、相対速度はそれぞれの速度の和になるからです。
自転車が左側通行か右側通行かで、相対速度は20Km/hか60Km/h毎時かの違いになります。3倍です。
これはつまり、クルマのドライバーでも、自転車に乗っている人でも、何かしらの危険を察知した時に、衝突回避の対処が可能な時間が1/3になる、ということです。両者の距離が例えば10mの時に自転車がふらついた、というような状況で、衝突を回避するための時間的な余裕が、自転車が右側を走っていると、1/3にまで減少してしまうんです。
これは危なさが決定的に違うと思いませんか? 自転車で左側を走るとクルマが後ろから来て怖い、という理由で右側を走る人もいますが、そんな事情はぶっとぶ程の相対速度の差が生じるんですよ。
そして、もし衝突してしまったら……
運動エネルギーは速度の自乗に比例しますので、右側通行の自転車は、左側通行の自転車の9倍のエネルギーをクルマから受け取ることになるんです。
20Km/hと40Km/hという条件においては、左側通行と右側通行で、危険回避のための時間が1/3になり、衝突した時のエネルギーが9倍になる、ということです。
もちろん、実際の交通状況はもっともっと複雑で、こんな単純な考察ではカバーしきれないことが色々ありますが、上に述べたことは原理的には正しいはずです。
これを読んだ方の何人かが、右側通行を改めて頂けたら幸いです。